アサヒビール「生ジョッキ缶」在庫不足と数量限定販売の謎に迫る

ビールと食べ物のペアリング
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●経緯

・2021/4/6に販売開始。缶のふたをペリッとあけると泡が自然に発生する仕様で大人気。4月販売分を2日で完売するなど在庫が足りず一時出荷停止。その後も月に一度のペースで数量限定で発売。
・パッケージには、「SUPER“DRY”」と「ASAHI」のロゴでスーパードライらしさがありつつ、日本初・生ジョッキ缶といった文言をあしらう。
・アサヒの調査によると、自宅では飲食店のような本格的な生ビールが味わえない、といった消費者の不満が6割を超えていたようで、これに応えるべく開発した商品。
・TVCMでは「日本初。開けた瞬間、まるで生ジョッキのうまさ。」をキーメッセージとしてプロモーションを展開。

●考察

(ブランド連想(アサヒといえば生ジョッキ)の活用)
・飲食店で圧倒的なシェアを誇るアサヒが、ジョッキの生ビールを思わせるビールを提供することに意味がある。
・というのも、アサヒスーパードライには、飲食店でのジョッキ生のイメージが強く結びついているからである。
・これが、仮にスーパーのプライベート・ブランドビールで同じ仕様の製品を作ってもここまで売れなかっただろう。なぜなら、こうしたプライベートブランドビールには、ジョッキ生のイメージが消費者の頭には連想されないため。

(アサヒのライト・ノンユーザーの獲得)
・また、マスマーケティングでわかりやすいCMを出していることも非常に重要。
・これにより、普段アサヒを飲まない、あるいはビールなど飲まない消費者であっても、コンビニで家で何か飲みたいな、と考えた際に当商品を思い出し、購入する確率が高まったと見られる。

(需要を見誤った背景)
・おそらく、需要を普段飲食店で生ジョッキを嗜む人を前提で見積もったのだろう。つまり、ターゲットを絞りすぎてしまっていたということ。
・実のところ、上記のブランド連想は普段生ジョッキを嗜まないノンユーザー・ライトユーザーでも思いつくものであり、CMによる認知効果から購買確率が高まっていたとみられる。このため、想定していなかったライトユーザー・ノンユーザーによる、いわばお試し買い需要を見切れていなかったと見える。

(今後の展開の予想と今回の施策の評価)
・上述のライト・ノンユーザーによるお試し買い需要は1~2度試せば消失する可能性が高い。
・アサヒ自身お試し買い需要の存在が、今後どこまで継続するかわからない。このため、段階的に数量限定で販売を行なっていくとみられる。
・ひとつ言えるのは、今回の取り組みを通じて、ビールユーザーにとって、数あるビールの中でスーパードライは生ジョッキ缶のブランドとして思い出されやすくなり、購入確率が引き上がったということ。
・さらには、今後コロナが一服する中で、飲食店での生ジョッキ需要に際してスーパードライが選ばれる可能性も高まるだろう。

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