ビールスタイル別ペアリングのご紹介①

ビールと食べ物のペアリング
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ビールにはピルスナーやヴァイツェンなど、スタイルと呼ばれるものがあります。
ここでは、ビールのスタイル別に、それぞれの味の特徴や代表商品、歴史などをご紹介します。
ビールの文脈を知ることで、日常のビールタイムをより豊かなものにしましょう。

ピルスナー

●色
・黄金色・透明度高

●味・風味の特徴
・味の主張は他のビールと比べて控えめで、少し苦みを感じる
・ホップの香りは繊細
・キレ・喉越しがいい

●代表商品
(日本の大手ビール会社の提供商品)
・スーパードライ、サッポロ黒ラベル、オリオンなど日本の大手メーカーのビール(日本で流通するビールの9割超)

●歴史
・生まれはチェコ・ピルゼン。1842年頃にドイツビールをホップの名産地であるピルゼンでも醸造するべく、ドイツの技術者まで招聘して取り組んだそうです。
・ところが、ピルゼンの水は軟水だったため、褐色のドイツビールと異なる黄色で爽快な飲み口のピルスナーが生まれました。
・このピルスナーがドイツに逆輸入され、アルコール低め(4%後半)でゴクゴク飲める特徴が広く市場にウケて「ジャーマン・ピルスナー」として世界に普及したようです。世界のビール市場でも7割を占めるといわれています。

・日本においても、ピルスナーが上述の通り市場を席巻しています。
・日本にビール文化が入ってきたのは明治時代に遡りますが、外国人技術者を招聘し、当時は英国流のエールビールとドイツ流のラガービール(ジャーマン・ピルスナー)が醸造されるようになりました。
・ですが、やはり淡い味わいの日本料理とマッチしたのは、シンプルな味わいのピルスナースタイルだったようで、結果大手ビール会社はピルスナースタイルをこぞって醸造。結果、今に至るまで日本のビール市場はピルスナーに席巻されることになりました。

●ペアリング
・爽やかな苦味と炭酸強めなので、揚げ物など重めの料理と合います。(唐揚げ)
・ホップの繊細さは塩味など同じく繊細な料理とマッチ。(塩焼き鳥、天ぷら、焼き魚、枝豆)
・喉越しとキレの良さは、ピリッと辛い辛味の料理と合います。(麻婆豆腐、キムチ)

ヴァイツェン

●色
・黄・白濁色

●味・風味の特徴
・モルトに小麦を50%以上使用することでタンパク質が多く含まれており、まろやかな口当たり。また、泡立ちがよくクリーミーな泡を楽しめます。
・ヴァイツェン専用のヴァイツェン酵母に由来する、フルーティな香りです。
・ホップ由来の苦味は少なく、飲みあたりがいいです。

●代表商品
・水曜日のネコ
・銀河高原ビール・小麦のビール
・日本ビール・白濁

●歴史
・歴史は古く、1040年にドイツ・バイエルンの最古のブルワリーで醸造されていたとのこと。
・16世紀には同地で「ビール純粋令」なる法律が施行され、食料としての小麦確保のため小麦を使用したビールは原則禁止されました。一方、やはり美味しかったからでしょうか、小麦を使用したビールは王家のブルワリーのみ許可されることになりました。
・以来貴族のビールとして醸造されていましたが、19世紀後半にはラガー人気の高まりから、ヴァイツェンに対する需要は下火となり、一旦ほとんど作られなくなっていました。
・その後、1970年代のアメリカにおけるクラフトビールブームで醸造されるスタイルの一つとして再度人気が高まり、日本のクラフトビールでも人気のスタイルになるなど、今では世界中で愛飲されるようになっています。

●ペアリング
・小麦由来の甘味がありますので、酸味のある柑橘系の料理(オレンジのシャーベット)と合わせると、際立つビールの甘味を楽しめます。
・ヴァイツェン自体にも酸味がありますので、マリネなど酸味が強めの料理と合わせると、相乗効果でさっぱり感が引き立ちます。
・ヴァイツェンが供されるドイツでは、朝食のパンがわりとして、ソーセージと一緒に食卓に並ぶそうです(液体のパンとも呼ばれるとのこと)。
・一方で、小麦&小麦でパンやホットケーキともマッチします。うどんもイケます。

ベルジャンホワイト

●色
・黄・白濁色

●味・風味の特徴
・ヴァイツェンと同じく小麦を使用するため、クリーミーな泡立ち。
・副原料にオレンジピールとコリアンダーを入れるため、フルーティ&スパイシーな香りを楽しめます。
・ベルジャンホワイトで使用する小麦は発芽前のものを使用するため、飲み口はヴァイツェンよりあっさりしている。
・クリーミーさとやわらかな酸味で、ヨーグルトを思わせる風味。
・苦味はあまり感じません。

●代表商品
・ブルームーン
・ヒューデンガルデン・ホワイト

●歴史
・1880年頃、ベルギー・ヒューデンガルデンにて盛んに醸造されていましたが、上述の通りラガー人気に押されてしまい、手間もかかることから醸造されなくなってしまいました。
・1966年に、ピエール・セリス氏により、ヒューデンガルデンで製造されていたヴァイツェンが復活され、ヒューデンガルデン・ホワイトとしてベルギーだけではなく世界中で流行しました。

●ペアリング
・スパイシーな香りのする料理とお互いを引き立て合いますので、タイ・ベトナム料理や中華料理、インド料理など幅広く合わせることができます。
・また、ヨーグルト感のある爽やかな酸味は、マリネや柑橘類と合わせると、キワ立つ酸味を楽しむことができます。

セゾン

●色
・薄黄色~薄茶褐色

●味・風味の特徴
・ホップ・スパイス由来の適度な苦味と香り。アメリカンホップを使用していると柑橘系のフルーティな香りを楽しめます。
・銘柄によって個性が強いスタイルで、総じて甘味・酸味・苦味のバランスがとれている傾向にありますが、ブルワリーごとの振れ幅が大きいスタイルでもあります。

●代表商品
・君ビール僕ビール

●歴史
・セゾンはフランス語で「saison(季節)」の意味で、ベルギーの農家が夏に飲むために冬仕込んだビールに由来しています。
・アルコールも5%前後と高くないので、水替わりにセゾンをゴクゴク飲んでいたようで、繁忙期の農家は労働者を集めるため、〇〇リットルのセゾンが飲める、といった条件提示まで行っていたようです。
・1970年代からの米国のクラフトビールブームで、米国の柑橘系の香りの立つホップとセゾンの酵母が非常にマッチしたことで、人気のスタイルとして愛飲されるようになりました。

●ペアリング
・飲み口も軽く、味もバランスがとれているので、どんな料理とも相性がいいです。
・ベルギーの家庭で愛されてきたビールなので、同国の日常食として親しまれるソーセージ、ハム、ベーコンなどの豚肉加工食品と合わせると、肉の脂とビールの爽やかな飲み口がマッチします。
・適度な苦味とスパイシーな香りは、スパイシーなインドカレーともマッチします。特に、スパイスの香りがダイレクトな南インド・スリランカカレーと相性がいいです。

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