【宮城】ずんだ餅

ずんだ餅の記事のタイトル写真ご当地おやつ
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【特徴】
・ずんだ餅は、鮮やかな薄緑色の餡が特徴の宮城県を中心とした東北の郷土菓子です。
・茹でた枝豆をすり潰し、砂糖と塩を混ぜ込んだ「ずんだ餡」をお餅にまぶして作られます。もともと夏に作られたことから、冷やしたものを頂きます。
・枝豆といえば塩ゆでしたしょっぱいものをビールで流し込むイメージですが、ずんだ餅は、枝豆の甘さと香りをダイレクトに楽しむことができます。

・栄養食の一面もあり、枝豆は高タンパク質、ビタミン・ミネラル豊富で、お餅の炭水化物でエネルギーも摂取できますので、軽食代わりに頂くこともできます。一方でずんだ餅一個あたり約40キロカロリーとおにぎり(およそ180キロカロリー)の4分の1以下ですので、低カロリーながら栄養を摂取できるコスパが高い食品でもあります。

【ヒストリー】
・宮城県では、婚礼や葬儀など行事ごとには欠かさずお餅を食べる習慣があり、お餅の食べ方も種類豊富です。ふすべ餅(素焼きしたどじょうを刻んですりおろしたごぼう・大根と絡めたもの)、くるみ餅(すりおろしたクルミと絡めたもの)、納豆餅(納豆を絡めた餅)など。
・その中でも、ずんだ餅は、枝豆の収穫時期でもあるお盆・お彼岸の時期に、おはぎ代わりに農家で作られて現地で食される特別なものでした。茹でた枝豆をさやから豆だけとりだし、更に食感をよくするために豆の薄皮を全て取り除くなど非常に手間がかかることから、家族総出で調理する、まさに特別な料理でした。
・ずんだの名称の由来には諸説ありますが、有力なものは、仙台藩主だった伊達政宗が陣太刀(じんだち、刀の外装)を用いて豆を潰したことから、当初はじんだち餅と呼ばれ、その後ずんだ餅になまった説です。
・そんなずんだ餅が世に広まったきっかけは、1989年に、仙台の(株)黄金食品・仙台藩名物ずんだ餅本舗により、冷凍のずんだ餅が開発されたことです。郵便局のお取り寄せ商品(ふるさと小包:日本郵便による日本各地の特産品の通販サービス、郵便局のラックにたくさん並んでるアレです)として販売を開始すると人気となり、日本各地で食されるようになりました。
・その後、追随するように菓匠三全(カスタードクリームが入ったカステラまんじゅうの「萩の月」でも有名)が「ずんだ茶寮」として仙台駅で販売を開始し、仙台名物としての地位を確立しています。
・ずんだ餡自体がお餅以外のケーキやソフトクリーム、シェイク等としても相性が良く、各種のずんだスイーツが生まれ、ずんだ餡自体の市場が拡大していきました。

【名店】

○(株)黄金食品・仙台藩名物ずんだ餅本舗
・ずんだ餅を日本に広めた立役者である(株)黄金食品・仙台藩名物ずんだ餅本舗は、1979年創業の老舗でしたが、2016年に惜しまれつつ解散しています。ネット通販を手がけつつも、保存料を一切使用せず、素材も最高級みやこがね餅米を使うなど、妥協のない商品作りを手掛けていたようで、グルメ番組など各種メディアでもよく取り扱われていたようです。

○菓匠三全・ずんだ茶寮
・菓匠三全はカスタードクリームをカステラ生地で包んだまんじゅうの「萩の月」でも有名ですが、「ずんだ茶寮」のブランドでずんだ餅やずんだスイーツ(ずんだシェイクやずんだソフトなど)を手広く手がけています。
・ずんだスイーツを展開することで、スイーツを切り口に幅広い層の流入が可能になったといえるでしょう。
・製品開発力に加えて、販売店も東京大丸や羽田空港など主要所を抑えており、ずんだ餅という商品カテゴリの認知度向上に貢献しています。
・また、通販サイトで手軽にずんだ餅を全国どこでも購入することが可能です。

○村上屋餅店
・仙台駅西口に立地する明治10年創業の老舗のお餅専門店です。
・餅やずんだ餡は毎日手作りしたものが供されますので、日持ちはしないことからその日中に食べなくてはいけませんし、通販はしていません。
・ですので仙台に行かないと食べられない、現地限定のお味です。
・着色料なしで丁寧に作られた綺麗な緑色のずんだ餡は優しい枝豆の甘さを感じることができ、突き立てのやわらかいお餅とお口の中で溶け合います。

【通販とご当地店のシナジー】
・まだインターネットも普及していない1980年代末に、貴重な全国への通販チャネルである郵便局の通販サービスを活用し、全国へのずんだ餅のプロモーション・ブランディングの役割をになった(株)黄金食品の、ずんだ餅業界に残した功績はとても大きいでしょう。
・一方で、ずんだシェイクなどずんだ餅の新たな商品カテゴリを生み出し、東京駅や羽田空港等多くの人の目が付く場所でテナントを持ち認知度を高め、結果としてずんだ餅市場自体の規模拡大を図った菓匠三全のマーケティング力もまた、ずんだ餅業界に貢献しています。
・さらに、認知が高まったずんだ餅の現地で本場のものを食べてみたい、という顧客の欲求の受け皿となっているのが、村上屋餅店のような現地でこだわりの餅作りに努める業者群です。
・各社が役割分担をうまく担い、共存共栄のビジネスモデルを構築できているといえます。
・鍵となるのが、ずんだ餅自体に、通販で販売可能な商品カテゴリと、現地でしか食べれない商品カテゴリが存在することです。
・この両カテゴリが存在するからこそ、通販でずんだ餅の認知を高め、現地で本場のものを食べてみたいという欲求を喚起し、仙台のご当地店への誘客が可能になっています。
・ずんだ餅という上位ブランドのもと、現地限定ブランドや通販、スイーツなど、各事業者がうまく役割を分担し合っているといえます。

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